大都会全線停車

とうらぶの二次創作描きたい

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明智小五郎事件簿Ⅱ(江戸川乱歩)

クロニクル2作目となる。


「一寸法師」は大正を象徴するエログロを前面に押し出した作品だ。
そういえば横溝作品には痀瘻がよく出てくる。最近ではそういった人が表に出ないせいか(見世物小屋もほぼなくなったし)、小人症の人にも実際に会ったことはない。
約200ページある中編のせいか、主眼がころころと変わるが、フーダニットばかりに気をとられていた読者は騙されたこととなったろう。
死体入れ替わり自体はよくあるけれども、疑ってかかることが前提の場合(『奇面館の殺人』)以外は気に留めないから気づかないな。

さて評価が高い「何者」。
作品の調子自体はいかにも本格物らしくて好きなのだが、作品解説でいわれるほど高評価になるかといえば私は疑問だ。
最初に挙げる点は現代の観点からなので申し訳ないのだけれど、クローズド・サークルでもなくさらに警察が捜査を行っているにもかかわらず目についた証拠品しか中盤まで提示されないこと。
大正当時の捜査が今と比べてどうだったのかということを知らないので、これを見るに捜査の杜撰さが否めない。
同じ現場を今の警察が捜査したら、すぐに諸々の不審点に気付くのではないだろうか。
そしてこれが最大の瑕疵だと思うのだが、情報が後出し過ぎる。
弘一と甲田の身長や足の大きさ、甲田が眼鏡をかけていること、両者の結び目の形が違うことなどは、映像作品ならば伏線として考えられるけれども、小説でこの情報を後で出すのはないだろう。
弘一の兵役忌避についてもそうだ。唯一軍隊と関係があるのは父親が陸軍少将だということくらいだ。
そして甲田が嘘のアリバイとして証言した行動が「頬を冷やす」ということだ。事件当夜に顔を怪我しただとか酔っ払っただとかいう事実があったのならともかく、いくら虚偽の進言としても「不在証明」なら単に外で風にあたっていただけでいいのではなかろうか。
それを「一歩手前の真実」として読者に提示している以上、弘一の推理を固める根拠を強くしてほしかった。
こうした後出しの情報が最終章で語られていくわけだけれども、熟練の推理小説読者ならば「赤井さん」が急に足のサイズに言及したところで真犯人には勘づくだろう。
「江戸川乱歩の短編」ではなく「明智小五郎が登場する短編」として読んでいるので、この点についてはこのシリーズを手に取った読み手のマイナス点と言わざるを得ない。


「証拠を提示して論理的に犯人に辿りつく」という、非常に本格のレールに沿ったつくりになっているだけに、証拠の後出しについては辛くなった。
やはりこういう点に関しては、私が読んだことのある作家のなかでは綾辻さんが一番だと思う。
探偵が犯人を指名する直前までに証拠となるものが出揃っていなければフェアとはいえまい。
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プロフィール

如意自在

Author:如意自在
某大都会県在住です。
もう勉強しなくてもいいということに咽び泣く。

本の感想:歴史ものと推理ものがメイン……のはず。
絵:少年漫画(ジャンプ)に感化されたものが多いです。

世界ふしぎ発見!マニア。2002年5月25日以降のデータは保存済み。
オカルトとかも好きです。あの胡散臭さがたまらない。

現在無双OROCHI2(PSP版)をプレイ中。
げんきっき!


以下、好きなもの。
人文科学、自然科学。このへんはストライクゾーンが広いです。

人文科学は本好きなので、そこから得た知識だったり、博物館・美術館に実際に行ったり。
歴史を好きになったきっかけは吉川豊先生の漫画かな?

自然科学のほうも博物館通いとNHKスペシャルの賜物ですね。
『生命』と『地球大進化』は名作。
短いのだと『恐竜vsほ乳類』かな。
物理・化学系は苦手ながらもあさりよしとお先生の著作で頑張って勉強してます。


少年漫画:90年代のジャンプ漫画を中心にそれ以降の作品がメイン。
ベストはるろうに剣心、次点で封神演義。BLEACHとか銀魂とかからもかなり影響受けてますね。
大元を突き詰めればドラゴンボール。かめはめ波の練習はやるよね!?

音楽:浜崎あゆみ、ALI PROJECT、Sound Horizon。
その他アニソン。

小説:司馬遼太郎、京極夏彦あたりがドストライク。
女性作家の文章よりは男性作家の文章のほうが好み。


(ΦωΦ)<猫好きです!
2014122904.jpg


好きなアニメ会社
京アニ、P.A.、A-1、J.C.、I.Gなど。


リアルでは話しかけづらい空気を醸し出しているらしい……ですがそんなことはないので、お気軽にどうぞ!

また思いついたら何か書きます。


最終更新日
2016年2月7日

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