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大都会全線停車

とうらぶの絵や漫画描きたい

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傾城の恋/封鎖(張愛玲/光文社古典新訳文庫)

また、遠くへ遠くへと旅に出ていた。遠い世界の出来事を読むたびに、この感情はやってくる。


訳文の関係もあろうが、いい意味でも悪い意味でも女性的な文章だと思った。
近代中国語の文章を読んだことなどないに等しいのだが、少なくとも日本の男性作家のようにさっぱりとした表現ではない。
それがよくも悪くも、喧騒に満ちた近代中国を表現している。

人間は想像力を以て経験したこと以上の文章を紡ぎだせるが、それでも、経験に勝る文章の糧はない。
表紙裏にて、収録作が1943~1944年にかけて発表されたことは事前に仕入れられた情報だった。だが私は、その時代の上海や香港がどのようにかの戦争と関わっていたのか十全に知っていなかった。
だから突然の轟音に、登場人物とともに驚く羽目になってしまった。無知というのは、やはり大罪なのだと思う。
「当時を経験する人間が当時を書いた文章」というだけで、リアリティに箔がつく。平和で豊かな時代を謳歌する私たちには知りえない、そして経験したくない情報だから。

著者や白流蘇は歴とした上流階級だが、それでも現代日本人の私からすればその暮らしは決して憧れの対象になるものではない。彼女らからは、ある種の凄絶さを感じさせる。
城が傾くとき、そこには世紀末よりも余程世紀末然とした空気が流れる。何もかもを失わなければ、人は前を向けないのかもしれない。
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星降プラネタリウム(美奈川護)

やはり、勘を信じることは正しかった。


春夏秋冬、四季の空を通して語られる物語は、とても心地がよかった。
それは偏に、私が天文ファンであるからに他ならない。もし同じように仕事を通して故郷と向き合う話だったとしても、題材が違えば私の反応は違っただろう。

春――南天に思いを馳せ、
夏――故郷の空を母と見る、
秋――亡くした命はいずこにか、
冬――再び故郷の地を踏む。

南天の星座や銀河鉄道の夜だとパッとすぐ予想できたものから、肉眼では観測不可能な星の未知の話まで、楽しませてくれた。


わが家は引越し、私の故郷は本当の意味でなくなってしまった。現在はどこの誰とも知れない人の家が建っていると聞く。
それでも、夢に見る家の風景はいつも、故郷の風景なのだ。私はもう故郷の大地を踏みしめることは叶わないが、点在する「懐かしいもの」を見つける旅になら、いつでも出られる。

だから、時間ができたら、変わってしまったプラネタリウムにでも顔を出そうと思う。
懐かしいものが見つかる場所は、故郷と同義だと思うから。

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バビロンⅢ ―終―(野﨑まど)

副題で勝手にこれが最終巻だと勘違いしていたのだが、まだ続くのね。この巻の発売からちょうど1年経っているので、次巻はもうそろそろか。


舞台は大きく拡がり、自由の国・アメリカへ。
精神崩壊した正崎が心配だったが、とても危うい状態であれ己を保っていた。それも、ラストでどうなってしまうかわからないのだが……。

各国の首脳陣は、アレックスを除けばステレオタイプな性格だったが、読者に余計な情報を入れさせないためのよいキャラづくりだと思う。
答に辿り着いたとき、彼は終わった。永劫の終わり。決して明けることのない夜に身を投じた。
禁断の果実を口にしてしまったのだから、楽園を追われるしかない。もう、彼は暗き黄泉にしかいられないのだ。


正崎の妻子は、登場当初から狙われるのではないかと心配していたが、見事に的中してしまった。
これ以上正崎の《続く》望みを断たないでくれ……。


バビロンⅡ ―死―(野﨑まど)

雲を摑むような状態だった前巻に対し、「何をやるべきか」がはっきりとしてきた。
だがそれでも、捉えようのない「悪」なのだが――。


ちょっと……ラスト数十頁が衝撃的で言葉が出ない。
不当に残虐に人が死んでゆくことは(当然だが)好きではないので、こういった方向にはしてほしくなかったと思いつつ、曲世愛の異常性を描写するには必要なのだろう。うーん、やはりグロくすればよいというようなのは好みではないかな。

物語としては、異常な正常エンターテインメントとして機能している。
章ごとにきちんと引きがあり、前巻の感想でも書いたが、アニメに向いている構成だ。
まだ全体の2/3で事態が収束しないことを知っているので、悪い方に転ぶという予測がついてしまうのは残念だが、それでも次はどのような捜査がなされるのかという期待を煽らせた。
特に、警察と連繋して秘密裡に捜査チームが組まれる展開には胸が躍った。プロフェッショナルが集められる展開がものすごく好き。


前回同様、次巻のあらすじなどを見ずに感想を書いている。
ここまでフラストレーションを溜めた悪役に対して、どのようなカタルシスをもたらす結末が与えられるのだろうか。
犯人が捕まらなかったり自殺したりする作品は消化不良と感じるので、正しく裁かれてほしい。

バビロンⅠ ―女―(野﨑まど)

アニメ化するという報を聞きつけ買ったのが、4月末。やっと読む順番が回ってきた。

こ、これは。
とんでもないものと出遭ってしまった。


前半は、巨悪を暴くために奔走する、若き世代への感情移入が凄まじかった。そして、誰からも愛されるであろう彼を「自殺」させた。
後半からは、域長選挙のからくりが明かされ、正崎対曲世という構図が強くなってくる。
そしてそこで初めて、序文の意味がわかるのだ。


状況が目まぐるしく変わっていく構成は、読者の心を非常に(非情に)捉えて離さなかった。
次の展開が気になる……まさにアニメ向けの作品と言っていいだろう。
誰が味方なのか、誰が敵なのか。移ろいゆく情勢を的確に嗅ぎ分けろ。


この本を読んだのが、1週間前でなくてよかったと思う。もし1週間前なら、私はその選択をしていたかもしれない。
それだけ、それは甘美なのだ。


現在、2巻裏のあらすじすら読まずにこの感想記事を書いている。変な先入観をもたずに「1巻のみ」の感想を書くためだった。
だが書き終わった今、私は安らかに、夜の女神の名の下で眠りに就くことができるだろう。

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プロフィール

如意自在

Author:如意自在
某大都会県在住です。
もう勉強しなくてもいいということに咽び泣く。

本の感想:歴史ものと推理ものがメイン……のはず。
絵:少年漫画(ジャンプ)に感化されたものが多いです。

世界ふしぎ発見!マニア。2002年5月25日以降のデータは保存済み。
オカルトとかも好きです。あの胡散臭さがたまらない。

現在無双OROCHI2(PSP版)をプレイ中。
げんきっき!


以下、好きなもの。
人文科学、自然科学。このへんはストライクゾーンが広いです。

人文科学は本好きなので、そこから得た知識だったり、博物館・美術館に実際に行ったり。
歴史を好きになったきっかけは吉川豊先生の漫画かな?

自然科学のほうも博物館通いとNHKスペシャルの賜物ですね。
『生命』と『地球大進化』は名作。
短いのだと『恐竜vsほ乳類』かな。
物理・化学系は苦手ながらもあさりよしとお先生の著作で頑張って勉強してます。


少年漫画:90年代のジャンプ漫画を中心にそれ以降の作品がメイン。
ベストはるろうに剣心、次点で封神演義。BLEACHとか銀魂とかからもかなり影響受けてますね。
大元を突き詰めればドラゴンボール。かめはめ波の練習はやるよね!?

音楽:浜崎あゆみ、ALI PROJECT、Sound Horizon。
その他アニソン。

小説:司馬遼太郎、京極夏彦あたりがドストライク。
女性作家の文章よりは男性作家の文章のほうが好み。


(ΦωΦ)<猫好きです!
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好きなアニメ会社
京アニ、P.A.、A-1、J.C.、I.G、動画工房、SILVER LINKなど。


リアルでは話しかけづらい空気を醸し出しているらしい……ですがそんなことはないので、お気軽にどうぞ!

また思いついたら何か書きます。


最終更新日
2018年3月18日

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