大都会全線停車

とうらぶの二次創作描きたい

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ひとり吹奏楽部(初野晴)

チカちゃんの語りが掌編を除いてまったくない番外編。
今回はやけに雰囲気が違うなあと感じていたらアホっ子視点じゃないからか。


それぞれ関係性の異なる人物同士がペアとなることで、違った切り口から掛け合いがあって面白い。
後輩、先輩(とは呼びたくない)、親友、はるか遠い先輩――
芹澤さんとさくらの話は伏線が一つ回収された感じ。内から見た芹澤さんの非情さ(?)を表すエピソードに過ぎなかったのに、清水南吹奏楽部の次代の話にまで発展するとは……。

一つ前の話の小ネタがそれぞれ仕込まれており、最終的に帰ってくるのがいかにも連作が続いている本シリーズらしい。
また、面白い、可笑しいだけではなく、「翳り」をそれとなく示唆している箇所があるのも特徴だろう。

ベルマークの話は嘗ては身近なものだったのに、文字だけの描写だと全然わからないものなんだなあ。マレンの帰国子女という設定が上手く生きている。だが今の世代の子どもたちも知らない子が増えているのでは……。調べてみると、私の母校の小学校は約10万点というそこそこの強豪校だった。今も続いていることに驚いた。


今回はハルチカコンビ以外を主役に据えることで、これまで起こった色々なこととそれらにかかわって入部することになった部員たちの「その後の内面」が見てとれる。
今では吹奏楽部になくてはならない存在ばかりなのに、以前は居場所が違っただなんて信じられない。
確実に時間は過ぎていく。コナンと同じように書かれた当時の時代背景に沿って携帯電話やネット環境などは変化していたが、今回は2016年度だと断定された。うーむ、それだとスマホが珍しいという価値観からはちょっと外れてしまうかなあ。
望月(兵藤)樹さんと会うという伏線を残して、シリーズは続いていく。年齢的に草壁先生や真琴さんと音大を通しての先輩後輩でもおかしくはないが、さて……。
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明智小五郎事件簿Ⅹ(江戸川乱歩)

ちょっと中だるみしてしまったが、最初と最後はペースよく読めた。
毎月刊行のシリーズなのだが、『カブキブ!』を読んでいたのもあって、間が3カ月も空いてしまった。だがそれ故に、飽きが一掃された感じがする。


今回は少年探偵団ものとエログロものの二本立てた。

『少年探偵団』は裏表紙のあらすじで怪人二十面相が登場すると書かれているので、インド人と家主の入れ替わりトリックは推理するまでもなかった。初読の読者には優しくないな……。
あのまま謎のインド人と戦う話でも、それはそれで面白かったのでは……と妄想する。
少年探偵団ものは子ども向けなこともあってか、内も外もわざとらしい描写やお約束が盛り沢山で非常にわかりやすい。頭を働かせて読むよりは、純粋に物語を楽しむほうがよさそうだ。
最後がまさかの爆発オチなのには驚いたが……。

『黒蜥蜴』は久しぶりにエログロ乱歩が帰還したという感じ。
年代記でも触れられていたが、女ボスというのがいいよね。え、ユミルって……。
明智(本当は違う)を海中に葬った緑川夫人が泣いてしまうという描写が非常によかった。それと最期も。『吸血鬼』のときもそうだったが、乱歩は悲恋の情景を読者に詩的に想像させるのが巧い。これは大人向けならではの筆だろう。

新装改訂版どんどん橋、落ちた(綾辻行人)

(恐らく)11年ぶり3度め。
いやあ知っている話のほうがペースよく読めるというのはなんだか悲しいものだなあ。

「フェラーリは見ていた」と「伊園家の崩壊」は残念ながら正解を忘れてしまっていたので、これらは初読と同じように結末を知らぬまま読んでいった。
まあ、読んでいくうちに「そうだった、そうだった」と膝を打ったりしたのだが。

U君が出てくる3篇は「意外な犯人」の犯人の氏名以外は覚えていた。
昔の時間のある時期に読み返していたということもあるが、映像化するとトリックが破綻してしまう手のものは印象に強く残っている。
U君――内田直行のキャラの濃さもあるだろう。
このシリーズがお気に入りの私にとって、先日刊行された『人間じゃない』に新作(といっても発表されたのは随分前だそうだが)が収録されているというのは朗報だ。文庫化はあと3年ほどか。

ご存命だった宇山さんとの会話で『奇面館』の話が出ていたのも再読ゆえの驚きだった。
私が初めて読んだ当時(2006年終わり~2007年前半)は『暗黒館』すら文庫化されていなかったからなあ。
「館」シリーズ最後の一冊、一体どのようなものがくるのか……。


上記のとおり再読なので、作品についての感想というより、再読しての感想になった。

火花(又吉直樹)

本来なら、一気呵成に読み上げるべきものだと思う。
むぅ、いつもいつも己の読書ペースの遅さを嫌悪する書き出しからだ。


昔の文豪を除けば、娯楽にはならない純文学というものを初めて読んだかもしれない。
淡々と綴られる文章。そこに灯されるのは、草莽の悲喜交々だ。
まるで前近代が舞台の、土埃に塗れた蒼氓が描写されているようだった。彼らと交わりたいとはこれっぽっちも思わないのだが、私はそのような描写が大好きなのだ。
なんでもない描写に心を奪われるのは、なんでもない日常に倦んでいるからだ。物語のなかでは何か特別なものとなって見える。
少し、美しすぎるものばかり集めて並べて眺めすぎたのかもしれない。

時代も人も当然のように移ろっていく。
終わりがないと思えた物語の果てには、希望とも絶望ともとれる終幕がある。
私の目の前には、暗雲が現れて終わった。
始まりの地へと戻って来たのは、若者などではない。

惑星カロン(初野晴)

私は今、途轍もない無理難題に挑んでいる。
この作品の感想を言語化してブログにアップする――その行為の矛盾をつかれてしまったのだから……。だから私は私たりえない。


難しく考えるのはいったん止めにして、まずは軽くいってみよう。

私は「当人が呪われているという自覚があるのならば呪いはある」と主張する。一種のプラシーボ効果だ。
作中でも言及されているとおり、呪いのスケールが小さい。単なる偶然や恣意的な意味付けで片付けられる範囲だ。
盲点となるのは最初のオーナーの言葉だ。これに気づきさえすれば、店長が発生源だということに辿りつく。
天体記号に関しては、私と同じく1990年前後に生まれた女性ならすぐに惑星を表すものだと気づけるだろう。それどころか、作中で触れられていないものでも太陽系の惑星全ての記号をソラで思い浮かべることさえ可能かもしれない。
「呪い」という言葉だけが独り歩きをしてしまった結果、呪いのフルートが出来上がってしまった。いつか倉沢さんが受け継ぎますようにと星に願いを込める。
呪いの楽器全般について興味をもったので簡単に調べてみることにした。
そういえば、弦楽器の場合は「げん」で弓弦の場合は「つる」なのだがルビが振られていなかったな。『迷宮の十字路』を見た人は絶対に間違えない!

次は実際に犯罪が絡んでくる穏やかではない話。
北欧・東欧に実在する「ヴァルプルギスの火祭り」を初めて知ったのは2010年前後の『世界ふしぎ発見!』だった。
それから某魔法少女アニメで有名になった(私はそのアニメを見たことがない)。
今回読んだことに伴って、久しぶりにウィキペディアのページを見てみたら、以前より段違いに詳しくなっていた。
ヴァルプルギスと魔女に、邪教として貶められたという共通点は見出せても、そこから結末までは思い描けなかった。
モスキート音はちょうど私が高校生の頃に話題になっていたので、解答が提示される直前に思い至った。いつもながら遅い。
“HEXE”も“HASHISH”も悪い大人の私は知っていたが、魔女が空を飛ぶとされるのは阿片による幻覚症状というのは聞いたことがあったようななかったような……。

本作唯一の休憩所のような「旧校舎全開事件」。まあ生物部にとっては災難だったが……。
風通しのよい設計、窓が全開と何度も強調されていたのだから、スウェーデンの名前が出た途端に気づくべきだった。これまた解答の提示ギリギリになって思い至った。
そこまでは「ギリギリでも答えを読む前に気がついたぞ~」という低い低い優越感に浸れたのだが、本当の謎は本当にわからなかった。
プテラノドンを(一般人に比べて)知りすぎているのが邪魔をした。だ、だって翼開長7mのプテラノドンと、いくら大型とはいえオオコウモリを見間違えるはずがないじゃないか!
とはいえ無事見つかってよかったね。同じ個体かどうかはわからないけれど。


さて、再び難題に取り組む時間がやってきた。
天文ファンとしてあるまじき失態だが、「惑星カロン」に関して、ハルチカシリーズを読み始めた1年前から本作読む少し前まで違和感を覚えなかった。
「惑星」=「カロン」と捉えれば当然違和感はたちまち形成されるのだが、私の脳内は都合よく「惑星カロン」という一個の固有名詞として捉えていた。それが偶然にも本当に固有名詞だったわけだけれども。
私には死に別れた愛しい人はいないが、愛しい愛しい家族となら死別した。もう5年になる。彼女は人間ではにゃいので勿論ブログなどをやっているはずもないが、思い出をもとに行動パターンや性格を蓄積すれば、近い将来VRで触れあえないだろうかと夢想する。
デジタルツインに関して、「箱」のなかに人工知能を搭載させるという面では『未来のたね』で読んだ「未来の家」を髣髴とさせる。
愛する人と一言でも会話をしたいと星に願う人々には、夢のようなシステムだ。それが幻想だと知っていても。人は死んだら終わりなのだ。幽冥界は遥か地の底であり、只人が到達できる域ではない。我々は模倣を模倣と知りながら享受する術しかもたないのだ。
彼我の隔たりとはよくいったもので、50億kmは地の底と同等に遠いだろう。電卓を弾いてみたが、本当に交信しようとすると片道4時間半ほどかかる。

人々よ、幻想と知れ。止まった時計の針を動かすことができるのは幻想ではなく生身の人間のみだ。
この感想を読んでくださった方、ここにいる私は私の貌をした何かであり、私ではありません。


最後に。後藤さんのおじいさんがまだご存命のようで安堵。

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プロフィール

如意自在

Author:如意自在
某大都会県在住です。
もう勉強しなくてもいいということに咽び泣く。

本の感想:歴史ものと推理ものがメイン……のはず。
絵:少年漫画(ジャンプ)に感化されたものが多いです。

世界ふしぎ発見!マニア。2002年5月25日以降のデータは保存済み。
オカルトとかも好きです。あの胡散臭さがたまらない。

現在無双OROCHI2(PSP版)をプレイ中。
げんきっき!


以下、好きなもの。
人文科学、自然科学。このへんはストライクゾーンが広いです。

人文科学は本好きなので、そこから得た知識だったり、博物館・美術館に実際に行ったり。
歴史を好きになったきっかけは吉川豊先生の漫画かな?

自然科学のほうも博物館通いとNHKスペシャルの賜物ですね。
『生命』と『地球大進化』は名作。
短いのだと『恐竜vsほ乳類』かな。
物理・化学系は苦手ながらもあさりよしとお先生の著作で頑張って勉強してます。


少年漫画:90年代のジャンプ漫画を中心にそれ以降の作品がメイン。
ベストはるろうに剣心、次点で封神演義。BLEACHとか銀魂とかからもかなり影響受けてますね。
大元を突き詰めればドラゴンボール。かめはめ波の練習はやるよね!?

音楽:浜崎あゆみ、ALI PROJECT、Sound Horizon。
その他アニソン。

小説:司馬遼太郎、京極夏彦あたりがドストライク。
女性作家の文章よりは男性作家の文章のほうが好み。


(ΦωΦ)<猫好きです!
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好きなアニメ会社
京アニ、P.A.、A-1、J.C.、I.Gなど。


リアルでは話しかけづらい空気を醸し出しているらしい……ですがそんなことはないので、お気軽にどうぞ!

また思いついたら何か書きます。


最終更新日
2016年2月7日

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