大都会全線停車

とうらぶの二次創作描きたい

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戦国の軍隊(西股総生/角川ソフィア文庫)

堅苦しい論文口調ではないことが幸いして、当初懸念していたよりも随分と早く読み終えることができた。
何より、導入たる第一章の渡辺勘兵衛の行動を復元する件(くだり)が妙すぎて、そこからずんずんと引きこまれていった。

史料から当時の人間の行動を復元する――歴史学を志す者なら誰もが行う作業である。
怠惰な学生だった私は、表面をなぞるおざなりな解釈でつまらない論文しか書けなかった。だがもし、時間を与えるから同じ研究を存分にしろと言われても、諾とは言わないだろう。


「軍隊」――である。(右だの左だの小煩いことは抜きにして)充分に心が躍る素材だ。
これはもう、幼少期から魅力的なキャラが敵味方に分かれて戦う、少年漫画を愛読してきた者の本能ではなかろうか。とにもかくにも、「戦い的なもの」に惹かれるのである。自分とは関係のない世界だからこそだろう。
そして読んで字の如くの戦国時代。この2つがかけ合わせられれば、何物にも勝る輝きを心に齎してくれる。
ここ数年で『落乱』に再びはまったというのも大きい。というより寧ろ、その知識がなければここまで楽しめなかった。


学術書や論文の常ではあるが、書いてあることすべてに賛同できるわけではない。
悪い言い方になるが、発刊レーベルから察するにガチガチの専門書ではない。大学の発表で参考文献として挙げたら叱責される類のものだ。
だからこそ、著者の自由な発想に基づいた論を展開できているともいえる。

読んで発想が変わったというよりも、自分がぼんやりと想定していたことに対してより明確な像を与えてくれたというほうが正しい。
これは何も私が上からの物言いをしているのではなく、ある程度戦国時代に対する知識をもっている者なら当然感じる感想だと思う。
近代の法令ではあるまいし、前近代において歴史が寸断されていきなりがらりと変わってしまうことなどまずない。何事も、段階的に変遷していくものだ。
そう考えていくと、意識していなかったにしろ歴史小説などで再生される戦国の軍隊というものは、この本で述べられているような軍隊だったのではないだろうか。源平や南北朝の頃とは明らかに違う、だがまるっきり違うわけでもない――。
大名の下で指揮する侍大将は何のためにいるのか。なぜ石高(貫高)に応じて戦に徴発される兵士の数が決まるのか。
これらを考えていくと、万人が自然(じねん)と辿り着く結論ではあったのだ。

上段の「ぼんやりとした推測」に解答を与えてくれたのが著者の丹念な論証であった。
慥かに一素人では、ここまで明確な答えは導きだせない。
史料整理を踏まえた上での論考はやはり専門家しか成し得ない。


最後に述べられていた、織田・豊臣軍が精強を維持しえた理由には目を瞠った。
これも、己が気づくヒントは今まで触れてきたもののなかに転がっていたのだ。
歴史学に限りはしないが、新たな切り口を見つけた者だけが結論を唱えられるのだ。


司馬遼太郎の戦国小説を読む頻度が減って久しい。最後に読んだのは確か6年ほど前の『覇王の家』だったか。
今回身につけた知識を念頭において読み直してみるのも一興かもしれない。
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世界ふしぎ発見! 大人の謎解き雑学(中経の文庫)

当たり前だが、毎週番組を見ているので知っていることばかりだった……はずなのだが……「言われてみればあったなあ」というものから「いつ紹介されていたっけ?」というものまで、忘れているものもあったので読む価値はあった。

「はじめに」に「近年(中略)取り上げた内容」とあるとおり、2010年代に入ってからのものばかり。
個人的にはもっと昔のものもとりあげてほしかったが……。90年代に幻冬舎から出た3冊はもう絶版だしなあ。
ファンとしては、情報の正確さや新しさよりも、「昔番組でとりあげられた」という雰囲気を味わいたい。昔のモアイこわかった。上記の3冊はコラムも充実していたしね。

今回のものは、タイトルに「雑学」とあるとおり、広く浅くとりまとめたという印象。
やはり自分で今まで録画・録音したものから画像をキャプチャしたり文字に書き起こしたりして、満足のいくものをつくれということか……。ずーっと計画はしているが全然できていない。


トルコの恩返しの話は目頭が熱くなるな。初めて知ったのは2003年9月の放送だったが、もっと多くの日本人に知ってほしい。
そして今、この前放送されていたピーターラビット回の再現シーンが2002年の使い回しというのを確認したくてうずうずしている。

図説大江戸性風俗事典(永井義男)

こういった本に関して感想を書くとはどういう向きなんだと自問したいが、歴史的な観点から、と自答する。


吉原のことはなぜかそこそこ知っていたので、その詳しい説明は同著者の『図説吉原事典』を読むとしよう。こちらは、あとで読む本行きとなった。

目を引いたのは、岡場所をはじめとした非合法の娼婦たちで、有名な(?)夜鷹はともかくとしてあとは知らなかった。
敢えて「何に」とは言わないが、今も素人ものがあるしねえ……。「引っ張り」などはまさにそれだろう。


割床はちょっとね……。

敗者たちの季節(あさのあつこ)

夏が過ぎた。
今ばかりは、発売してすぐ読めなかったことに感謝している。春に読んでいたら、同じ読後感は味わえなかっただろう。


違和感を覚えるほどの夏の濃すぎる空を――私は「特撮の空」と表現しているのだけれど――私だけが感じているものではないと知った。
あの空の色は空色ではない。炎天下であっても、クーラーの効いた室内であっても、空を見上げた者だけが感じ得る濃さだ。
その色に別れを告げる季節がやってきた。今の空は、エチオピアが似合う。

群像劇にすることで、登場人物の掘り下げが多角的に行われている。
もし直登や恭司ら少数の人物だけにしかスポットが当たらなかったならば、とても狭い世界にしかならなかっただろう。
多くの人物がいる。この話は広い世界を舞台に繰り広げられているのだと実感する。


物語が終わっているからこそ、青春への未練を感じなかったのかもしれない。

明智小五郎事件簿Ⅻ(江戸川乱歩)

一連の年代記シリーズも、ついに最終巻となった。
他の新刊もあったりなんやかやで結局1年以上かかってしまったな……。


前半の「悪魔の紋章」は明智以外に探偵役がいる時点で「あっ…」となるので割愛。

「地獄の道化師」はなんというかその……。
北村薫さんの解説同様、「なるほど」と思わされた。犯人について一貫して男と決めつけているあたりは怪しいと感じ、道化師が喋る場面を読み返してみたが、「太いしゃがれ声」と表されているので「まあそんなもんか」と納得。
「悪魔の紋章」で指紋を強調した作品を発表しているのに、正体不明の女や残された壜の指紋を調べないのは釈然としないが。同じ巻に収録されていることの不幸か、それとも現代の科学捜査に毒されているのか……。
「遺伝」という言葉が戦前にあったのだなあ。ワトソンとクリックが遺伝子(の影)を見たのは確か1953年だったはずだ。当時はどのようにして遺伝が教えられていたのだろう。生殖細胞ぐらいは見られたと思うから、子が親に似る理屈はわかっていたのだろうか。


戦後の明智はあまり活動的ではないということなので、シリーズ第2弾は期待できないだろうか……。

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プロフィール

如意自在

Author:如意自在
某大都会県在住です。
もう勉強しなくてもいいということに咽び泣く。

本の感想:歴史ものと推理ものがメイン……のはず。
絵:少年漫画(ジャンプ)に感化されたものが多いです。

世界ふしぎ発見!マニア。2002年5月25日以降のデータは保存済み。
オカルトとかも好きです。あの胡散臭さがたまらない。

現在無双OROCHI2(PSP版)をプレイ中。
げんきっき!


以下、好きなもの。
人文科学、自然科学。このへんはストライクゾーンが広いです。

人文科学は本好きなので、そこから得た知識だったり、博物館・美術館に実際に行ったり。
歴史を好きになったきっかけは吉川豊先生の漫画かな?

自然科学のほうも博物館通いとNHKスペシャルの賜物ですね。
『生命』と『地球大進化』は名作。
短いのだと『恐竜vsほ乳類』かな。
物理・化学系は苦手ながらもあさりよしとお先生の著作で頑張って勉強してます。


少年漫画:90年代のジャンプ漫画を中心にそれ以降の作品がメイン。
ベストはるろうに剣心、次点で封神演義。BLEACHとか銀魂とかからもかなり影響受けてますね。
大元を突き詰めればドラゴンボール。かめはめ波の練習はやるよね!?

音楽:浜崎あゆみ、ALI PROJECT、Sound Horizon。
その他アニソン。

小説:司馬遼太郎、京極夏彦あたりがドストライク。
女性作家の文章よりは男性作家の文章のほうが好み。


(ΦωΦ)<猫好きです!
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好きなアニメ会社
京アニ、P.A.、A-1、J.C.、I.Gなど。


リアルでは話しかけづらい空気を醸し出しているらしい……ですがそんなことはないので、お気軽にどうぞ!

また思いついたら何か書きます。


最終更新日
2016年2月7日

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